医療従事者として患者様や施設入所者様とお話する機会の中で、「私はね、食べれない、喋れない、動けないってなったら、もう何もしてほしくない、そのまま静かに逝かせてほしいわ」「延命は受けたくないわ」と、そっと胸の内を明かしてくださる方が多くいらっしゃいました。
では、「延命措置」とは何を指すのでしょうか?
「たくさんの管を入れて、たくさんの機械につながれている」というイメージを持たれる方もいらっしゃると思います。
一般的に「延命措置」とは、
・人工呼吸器
・人工透析
・栄養・水分補給
・血液循環の維持
・薬剤投与
が当てはまると言われています。
ここでよくご理解いただきたいのは、外傷や遺伝性の病気により、人工呼吸器や透析等の生命維持装置を使い生活されている方にとっては、この装置はただ死期を引き延ばすだけのものではない、ということです。
また、同じ「措置」であっても、それが回復を期待する「治療」目的であったり、急な病気や外傷からの「救命」の目的である場合もあります。
つまり、上記の5つを受けている=延命措置を受けている、にはつながらないということです。
さて、回復の見込みのない 命の最期が差し迫った終末期の患者様に対し、この、延命措置を差し控え、又は、中止し、人間としての尊厳を保ちつつ、死をむかえさせること。これが現在の日本では「尊厳死」と一般的に定義されています。
かつては、何としても命をつなぐ、という信念のもと、この延命措置が積極的に行われていた時代もありましたが、
近年では、QOL(クオリティ・オブ・ライフ 人生・生活の質)の観点のもとで、延命措置を差し控え、または中止して、自然な流れを死を迎える、この考え方に変わってきています。
命の瀬戸際に、なお、たくさんのチューブや機械につながれた患者様の身体的苦痛、それを見守るご家族の苦痛は計り知れないものがあります。
無理な延命を差し控え、または中止することで、その患者様の尊厳を守りつつ安心して最期を迎えられるように…
これが尊厳死という考え方です。
しかし、残念ながら、現在の日本では、この「尊厳死」に対する法整備がされていません。
つまり、「これをやったら延命」とか「尊厳死とはこういうもの」というはっきりとした取り決めがないのが現状です。
ですので、その措置が延命に当たるか、それを差し控えたり中止するか、ということも、原則として、医療現場で治療にあたる医師の判断ということになっています。
「命の終わり」に答えはないものだと思います。
「最期の最期まで命を大切にする」と考えた時に、延命措置は必要なものとする考え方もあると思いますし、
「できるだけ自然の流れに逆らわずに天寿を全うしたい」という考え方もあると思います。
どちらが正解、不正解でもない。正しい、間違っている、でもない。
ただ、
「ご自分の人生や命を最期まで大切にする、オトシマエをつける」という意味で、「命の瀬戸際に、どこまでの、どんな治療を受けたいか」
ここに思いを巡らせ、できる限りその考えや意思・希望を形にして残す、ということを、ぜひしていただきたいと思います。
そのためにも、まずは正しい情報・知識と、使える制度や法律を知っていただくところから。
ぜひ行政書士をお役立てください。
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