令和6年4月から、不動産相続登記が義務化されます。
現在日本には、相続によって土地を相続したのにも関わらず、登記が適正にされない、されなかったがために、登記簿を見ても持ち主が分からない、「所有者不明土地」が増加しています。令和2年のデータになりますが、日本全国のこのような土地をすべてくっつけたとすると、その広さは国土の約24%、九州よりも広い面積になると言われています。
この所有者不明の土地は、様々な弊害をもたらします。管理がされないことにより草木が生い茂り、放火や不法投棄などの犯罪の温床になったり、景観を損ねる、衛生上の問題等も発生します。行政としては、持ち主の許可や承諾がなければ勝手にさわることもできず、その持ち主を特定したくても、連絡がつかない、誰だか分からない…こういった悪循環が大きな社会問題になっています。そこで、「相続で不動産を取得した場合には、しっかり登記をしてくださいね。これをしないと場合によっては罰則もありますよ」という新たな決まりができました。
さらに、これは昨年令和5年4月からすでに始まっていますが、具体的相続分の割合による遺産分割の基準にも制限がかけられています。これは、「各相続人が持つ相続に関する権利の一部は、原則として相続発生から10年経過すると、遺産分割協の中で主張できなくなりますよ」というものです。遺産分割協議では、故人様の残した財産のうち、誰が、何を、どれだけ引き継ぐかを話し合いで決めていきます。その中で、「私は(故人様の生前に)介護を一手に引き受けたのよ」「あなたは(故人様の生前に)たくさん援助を受けていたわよね」など、互いに主張したくなる場面もあるかもしれません。民法ではこれを「寄与分」「特別受益」として明文化していますが、こういった「相続人の持つ権利」を協議の中で主張できる「期間」に制限を設けたのです。確かに、故人様亡き後に、相続人間でいつまでもこんな主張を繰り返していては、相続は完結せず、いつまでも「次の新しい持ち主」が決まらないですね。
故人様亡き後に、故人様の所有していた財産が持ち主を失い、宙ぶらりの状態に長く陥ることを、国は法律を通して防ぐ方向で動いています。
故人様亡き後、その財産はいったんは相続人全員の「共有」の状態になります。しかし、この共有「みんなのもの」の状態が長く続くことで様々な不都合が出てくることもあります。それは相続人間だけの問題にとどまらず、将来的には最初のその相続には無関係だったご家族や社会にまで影響することも考えられます。
何より、故人様の人生、想いがつまった「財産」がうまく引き継がれないことで、その価値が生かされないこと、思わぬ
トラブルやもめごとの原因になってしまうのは、大変残念でもったいないことです。
人が亡くなると、葬儀や事務手続きなど、残されたご家族には、やらなければならないことが山積みです。その中でも相続手続きは相続人のその後の人生や生活に影響する大きな出来事だと考えます。故人様亡き後も、時間は止まってはくれません。
大切な方を亡くされ、喪失感や悲しみの中にある方の心や体のご負担が少しでも軽くなるように、私達専門家に相談してみるという選択肢もぜひ検討いただけたらと思います。
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