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遺言とは、生前のうちに、自分の亡き後に自分の残した財産について、誰に、何を、どのように、どれだけ引き継いでもらいたいかを意思表示したものです。
遺言は、法律で定められた事項について、遺言者が亡くなってはじめてその効果を発生させることがきます。
遺言は、被相続人(故人、遺言者)の一方的でお一人での意思表示であるため、残されたご家族やご親族等に与える影響はとても大きいものになります。そのため、遺言があったからといってこれを無限に、無条件に認めてしまうと、利害関係人に混乱をもたらすことがあり、これを防ぐために、民法は遺言に関する事項を定めています。この民法で定められた遺言事項を法定遺言事項といいます。
反対に、法定外事項といって、たとえ記載されていたとしても、法的に拘束力や強制力がない事項もあります。
法定外事項にあたるのが「付言事項(ふげんじこう)」と呼ばれるものです。
付言事項とは、遺言者がどのような思い・きっかけで遺言をしたのかという心情と、自分の亡き後もご家族ご親族一同に仲良く暮らしてほしいというご希望などを記載したものです。
具体的には、遺言の動機、葬式の方法、死後の献体、家業の発展、家族の幸福の願い、家族や兄弟姉妹間で争うことなく仲良くしてほしいという願い、家訓など継承してほしいことやその方法などです。
付言事項には法的な効果はありませんが、遺言者の「想い」を相続人に伝えることができます。
亡くなってその存在がこの世からなくなり、姿がなくなってもなお、故人様の「最後の声」として受け取ることができるのです。私事ですが、この付言事項のことを「最後のラブレター」とご説明しています。
以前、公正証書遺言の作成サポートのご依頼をお受けしました。その時に付言事項の記載を提案させていただいたところ、ぜひ残したいとご希望があり、遺言者様のこれまでの人生、ご家族との思い出、この先の願いなど、丁寧にお聞かせいただき、何回も話し合いを重ね、「最後のラブレター」が完成しました。迎えた公正証書遺言作成の日、遺言者様は公証人より読み上げられた遺言を何度も大きく頷きながら聞かれ、付言事項の読み上げの際には、それまで以上に穏やかな表情で目に涙をためていらっしゃいました。若輩者ながら、この方の人生最後の意思表示に自分が行政書士として関わらせていただくことができたということに、心からの感激と感謝の気持ちでいっぱいになりました。
法的効果のある遺言の本文を、側面から「想い」の部分として支える大きな役割となりうるのが付言です。
実際に相続が発生した時の状況や相続人の心情にもよりますが、遺言者の想いが相続人に伝われば、遺言者の意思を大切にしようという気持ちが一致し、結果的に円満円滑な相続になることを期待できるかもしれません。「最後のラブレター」にはそんな温かさが宿っています。
この付言事項、あくまでも「ラブレター」です。反対に、相続人がこれを読んで気分を害したり、反発を買うような内容や表現は、ぜひ避けるべきだといえます。
「遺言」や「法律」と聞くと、どこか敷居が高く、とっつきにくいというイメージを持たれる方もいらっしゃると思います。しかし、付言事項だけではなく、法定事項も含め、遺言は「故人様からご家族様へのメッセージ」です。
ぜひ、残されるご家族のお気持ちに寄り添った内容にすることをおすすめしたいと思います。
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