今回より3回にわたって「介護が必要な状態になってから、に備える」をテーマに書かせていただきます。
1回目は、「介護が必要な状態になるきっかけと必要なサポート」です。
「人間、最期の最期まで、自分のことは自分で」これは一番の理想であり、どなたもが望むことではないでしょうか。
自分の介護で家族に迷惑をかけたくない、自分の体のことを誰かに手伝ってもらったり見られたりするのは嫌、自分の大切な物は最期まで自分の手元に置いて自由に使いたい…
これは人として当然に願うことですし、尊厳を守るという意味でとても大切なことです。
しかし、超高齢社会、医療が目覚ましく進展し、福祉に関する制度も整備される中で、どなたかや何らかのサポートを受けなければ生活が難しい、生きていくことが難しい、つまり、「介護が必要な状態になる」ケースになることが多くあるのも現状です。
では、介護が必要な状態になるきっかけには、どんなことがあげられるでしょうか。
「きっかけ」になりうる出来事を3つあげたいと思います。
まず1つ目は、「年齢的な変化」 加齢による身体的、心理的な変化です。個人差はありますが、加齢に伴い、筋力の低下や節々の痛み、気力の低下など、生理的な変化、衰えによるケースです。
2つ目は、「身体の不自由」 病気やけがにより、自分の力や意思で行動、動作することが難しくなるケースです。
3つ目は、「頭の不自由」(※この表現に色々なご意見があるかと思いますがご容赦ください) 認知症や精神障がい、知的な障がいにより、自分の意思を伝えたり、判断することが難しくなるケースです。
この中で、皆さんにとって身近で不安に感じるものの一つが、認知症ではないでしょうか。
認知症といっても、その病態や症状、進行度は様々ですが、写真にも掲載している書籍「認知症世界の歩き方」の表現をお借りすると、認知症とは、「認知機能が働きにくくなったために生活上の問題が生じ、暮らしづらくなっている状態」です。認知機能とは、私たちが普段意識せずやっていること、やれていることになります。(たとえば道端で犬を見かけた時に、それが犬という動物だと認識したり、知らない犬だから嚙まれないように近づかないでおこうと判断・選択したり、帰宅後に、今日は道端に犬がいたなと思い出したり、その後飼い主のもとに戻れたのかなと想像したり…)
私は看護職として働く中で、認知症と診断された方にも多く接してきました。その方々に見られた症状として、「自分の気持ちや状態を上手く伝えられない(気持ちが伝わらない、分かってもらえないことで、感情的な言動や態度になる、身体の不調を訴えることができず治療が遅れてしまう)」「体内時計の乱れ(睡眠の昼夜逆転、ご飯を食べたのにも関わらず食べていないという)」「記憶をとどめることが難しくなる、思い込みや執着が強くなる(財布や通帳を失くしてはいけないと仕舞い込むが、仕舞い込んだ場所や仕舞い込んだことを忘れてしまい、誰かに盗られたに違いないと思い込む)」などがありました。
では、もし万が一皆さんの大切なご家族が認知症になったとしたら、どのようなサポートが必要になるでしょうか。
こちらも3つあげたいと思います。
まず1つ目は、ご本人の身体や生活を守るための契約や申請、手続き(介護保険制度の利用や、入院や施設入所の手続きなど)
2つ目は、ご本人の財産の管理、保全 (明らかに不要なものを買ったり、ご本人にとって不利益の大きい契約を結んでしまわないように、財布や通帳、印鑑を預かるなど)
3つ目は、お金の工面 (ご本人に介護や治療が必要な場合や、入院、施設入所となった場合、ある程度まとまったお金が必要になります)
こういったサポートが必要になるのですが、3つ目の「お金の工面」というところで、思わぬ問題が発生することがあります。
☆次回「~介護が必要な状態になってから、に備える~ Part ② 法定後見制度の仕組み」に続きます。
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