※写真は、本文の内容とは関連ございません。
今回は、私がご紹介したい「4つの終活」のうちの2つ目のお話です。
前回は、ご自分の亡き後の相続手続きのお話でしたが、私の経験上、故人様亡き直後に相続人の間ですぐに「相続の具体的な話」が出ることはあまりないように感じます。というのも、人が亡くなると、まずは「葬儀はどうするのか」という話になり、葬儀が終わってからは、関係機関に故人様死亡の事実を伝え、各種手続きをする必要があるからです。
病院や施設で亡くなった場合、ご家族の心情に配慮しながらもできるだけ早いご遺体の引き受けをお願いされますし、ご家族のもとに戻られたご遺体を次に安置する場所の手配が必要です。その後は一般的に通夜、葬儀、火葬と続き、初七日や49日法要など、それと並行して、関係機関の手続きと、ご家族にとっては体力も気力も必要な出来事が一気に押し寄せます。ですので、相続手続きの前に、こういった「亡き後の手続きに関する事務」を先に行う必要が出てきます。(以下、ここでは死後事務手続きといいます)
死後事務手続きは大きく3つに分けられます。
1つ目は、「葬儀に関すること」具体的には、ご遺体の引き受け、搬送、安置(仮安置も含む)、亡くなったことを親族や関係者に連絡する。葬儀や火葬の手配、費用のお支払い。
2つ目は、「お墓に関すること」具体的には、遺骨の引き受け、搬送、安置(仮安置も含む)、納骨や法要の手配、費用のお支払い。
3つ目は、「行政手続き、その他」具体的には、市区町村での手続き、年金手続き、ライフラインの停止や支払いの変更、病院や施設の諸費用のお支払い、家具や遺品の処分等。
当然ですが、故人様はすでに亡くなられているので、ご自身の死後事務を自分で行うことはできません。親族や家族が担うことになりますが、故人様が生前に「自身の死後事務に対しての備え」をしておくと、担う側にとって大変スムーズなことが出てきます。
たとえば、葬儀について。冠婚葬祭会社さんの互助会に入会し、葬儀や法要のプランについて希望を伝えておく、積み立てをして葬儀代を確保しておく、遺影となる写真を撮影しておく、自分が亡くなった時に連絡してほしい、伝えてほしい人をリスト化しておく、菩提寺があれば亡き後の連絡方法や葬儀や法要について確認しておく、など。
次に、お墓(納骨)について。遺骨ついての希望、納骨方法やお墓の継承(状況によって墓じまいの検討)、菩提寺との関係についての希望、など。
最後に、行政手続き、その他について。返却の必要な書類(健康保険証、介護保険証、障害福祉に関する手帳、各種助成関係など)の保管場所を分かるようにしておく、亡き後に相続人が支給が受けられるものについて調べておく(生命保険や年金など)、ライフラインの会社や引き落としの口座がどれかを分かるようにしておく、など。
実際に死後事務を担った方のお話を伺うと、「葬儀の際にどのような葬儀の形態にするか値段の相場も分からないし、予算も含めて、選択が難しかった」「亡くなったことをどこまでの関係性があった方に連絡したらいいのか迷った」「手続きをしようにも必要な書類などが見つからなくて困った」など大小様々な葛藤や問題を経験されたという方も多くいらっしゃいます。大切なご家族が亡くなる、という出来事は非日常であり、精神的・心理的な負担がある上に、次々とやらなければならないこと、選択しなければならないことが押し寄せ、「悲しんでいる時間もないほどだった」というお言葉も聞かれます。そんな中で、故人様が生前に自分の死後事務について、ご家族に希望をお伝えしたり、具体的な選択や手続きを済ませていただくことによって、残されたご家族の負担は少なからず軽減されると考えます。
ご自身の「死後事務」について、担ってくれるご家族やご親族がいないケースの場合、専門家などと「死後事務委任契約」を結ぶことによって必要な事務をお願いすることも可能です。担ってくださるご家族やご親族がいる方の場合、「エンディングノート」を使って、希望を伝えたり、必要なものの在処や連絡先等を記しておくことができます。
「終活」というと「遺言」が代表格と言われますが、人が亡くなると葬儀や火葬、納骨など、ご家族やご親族にとってはすぐにやるべきこと、やらなければならないことがあります。葬儀をはじめ死後事務は、故人様とのお別れに対するお気持ちの部分でも大切な役割があります。ご自身の人生の幕をどのように閉じたいか、まずはイメージしてみるところからはじめてみませんか。
次回は3つ目、「命の最期に受ける医療について」のお話になります。
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