前回に続き、後見制度をテーマとしたお話の続きです。
そもそも「後見」って何でしょうか。「後見」を百科事典で調べてみると、「背後にひかえて世話をすること、うしろだて」とあります。では、民法でいう後見は、どんな方に対して行うものでしょうか。ここからは皆さんにイメージしていただきながらお話をすすめたいと思います。もし認知症が理由で介護が必要な状態になった時、症状や状況にもよりますが、衣食住において、どなたかからの何らかのサポートが必要になります。たとえば家族と一緒に住んでいる場合、家族がその担い手になるケースもありますが、家族だけで介護の全てを負担することは、現実的に困難なことも出てきます。そんな時使える・備える制度として介護保険制度があり、介護度に応じて様々なサービスを受けることができます。では実際に介護サービスを受けるために必要な手続きや費用の支払いは、どなたが行うことになるでしょうか。皆さんの中で、真っ先に思い浮かぶ方はいらっしゃいますか。息子さんや娘さん、お嫁さんやお孫さんなど、家族や近しい親族が動いてくれるという方もいらっしゃると思います。しかし、結婚歴がなく、お子さんもいない、兄弟姉妹がいるが高齢ですでに頼れる状態ではない、中には様々な事情から、近くに家族や親族がいても頼れない、連絡もとれない、という方もいらっしゃるのも現実です。ではそのような状況にある方が、誰からの何の支援も受けず、生活を続けていくとしたらいかがでしょうか。これは実際にあった例なのですが、おひとり暮らしの高齢の方のご近所さんから行政へ、「最近様子がおかしい、話の辻褄が合わない、身なりが乱れている、自宅に不特定多数の人が出入りしている」等の情報提供があり、自宅訪問したところ、認知症がかなり進行した状態で、食事や保清もできておらず、また、不当に高額な代金で不要な自宅内のリフォームといった契約をさせられ預貯金をだまし取られている被害に遭っていた、ということが判明しました。認知症という病気は進行度や症状も様々ですが、ある程度進行すると、意思能力や判断能力が衰え、通常認知症ではない方が普段何気なくやれている、やっている判断や選択が正しくできなくなります。この例の方のように、自分の身の回りのことをすることが困難になったり、お金や貴重品など生きていくために必要な財産の管理も困難になったりします。では、この方が必要な支援を受けるにはどうしたらいいでしょうか。先に書いた通り、介護サービスを受けるためには様々な手続きが必要になり、また費用の支払いも必要です。しかし、この方のようにそれを担う家族や親族がいない場合は、第三者が行うことになりますが、契約や申し込み、お金の管理や支払いといった法律行為を行うことは責任がともないますし、お金が絡めば思わぬトラブルに陥ることもあるかもしれません。そこで、必要になるのが法的な代理人である、「後見人」です。つまり、後見人は、意思能力や判断能力が不十分な方や欠いている方の、身上監護と財産管理を目的として法律行為を行う権限を与えられた代理人ということになります。
よく「後見人って何するの?」とか、「なんで後見人が要るの?」と聞かれることがあります。後見人が必要になるケースは様々ですが、意思能力や判断能力に困難が生じている方に必要な身上監護と財産管理が後見人の業務となります。
今回は後見人が必要になるケースと後見人の業務についてのお話でした。
次回は、「はじめまして、後見人です! その③ 後見人が選任されるまで(申立てから審判確定まで)」のお話になります。
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