コラム
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- 「はじめまして、後見人です!」 その④
- 今回は後見申立てにの際に大きなポイントとなる二つ目、「申立人」についてです。<div>前回の例を引き続き使い説明していきます。</div><div>Aさんの身上監護と財産管理のため、法的な代理人である後見人をつけるとなった場合、家庭裁判所に後見申立てをする必要があります。この「申立てをする人」、つまり申立人は誰が担うのか、がポイントになります。</div><div>申立ては、誰もができるわけではありません。例えばAさんの友人や近隣の方が、「Aさんには後見人が必要だから!」と自らAさんの為に一肌脱ごうと考えても、民法に照らすとそれはできません。「民法7条 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、…の請求により、後見開始の審判をすることができる」(一部を抜粋)と定められています。つまり、Aさんの配偶者か、四親等内の親族、またはAさん自身が申立人となる必要があります。Aさんの場合、四親等以内の親族にあたる、妹さんやそのお子様がいらっしゃいますので、この方々のご協力があれば、民法上申立人になることはできます。しかし、後見の申立ての為の準備は1日2日でできるものでは到底ないのが現状です。まず申立てに必要な書類を揃えるところから始まりますが、前回説明した医師の診断書は絶対ですし、その他に、申立書や申立事情説明書、財産目録、収支予定表などの書類作成が必要で、これらの書類の根拠となるような公的な書類(例えば、戸籍謄本や住民票、不動産登記事項証明、通帳のコピー等)を関係機関に請求する必要もあります。私は一度、私の父親の為にもし申立てをするとしたら、という前提で書類を作ってみたのですが、その膨大な量に心が折れそうになりました。また、自分の父親のことはたいてい分かっているから大丈夫と軽い気持ちで書き始めたのですが、学歴や職歴など過去の細かい経歴にまで触れる必要があり、また父の財産の内容や普段の生活における収支なども把握しきれておらず、これを申立人一人でこなすことは無理だと感じました。そして申立ての為には決められた手数料を支払う必要もあり、お金がかかります。前後しますが、申立ての為の書類作成や申立ての手続き自体を専門家に依頼すると数十万円の報酬もかかってきます。申立の際に、これらの費用をAさんの財産から支出することを請求する旨を付記することはできますが、申立人の心理的、物質的な負担はやはり大きくなります。</div><div>また例えばAさんに親族がいたとしても、様々な事情からAさんとの関りを拒まれ、申立人にはなりたくないという方もいらっしゃるかもしれません。では、Aさんに四親等以内の親族がいない場合はどうなるのでしょうか。実は申立ての中には、「首長申立て」というものもあります。これは本人の居住する市町村長が公の立場で申立人となるものです。市町村ごとに首長申立ての対象になるかの条件は異なりますが、実は令和5年度の申立のうちの約23%がこの首長申立て案件になっています。要因は様々考えられますが、おひとりさまの高齢者の増加、親族関係の希薄化などが挙げられます。</div><div>本人の身上監護、財産管理の為に後見申立てが必要となった場合、申立人が必ず必要となりますが、その役目を誰が担うのか、は大きなポイントです。</div><div><br></div><div>今回は前回に続き、後見の申立てから選任までのうち、「申立におけるポイント」のお話でした。</div><div>次回は、「はじめまして、後見人です! その⑤ 後見人には誰がなる?」のお話です。</div><div><br></div>
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- 「はじめまして、後見人です!」 その③
- 今回は、後見の申立てから選任まで~後見申立てのポイント~を説明したいと思います。<div>分かりやすく、「認知症を患い、おひとり暮らしが困難となった高齢者のAさん」を例にあげてご説明します。<span style="text-decoration:underline"></span><div>Aさんは長年ご自宅にておひとり暮らしをされてきましたが、今回友人の一人からご様子がおかしいと行政に情報が寄せられ、調査の結果、認知症様の症状がかなり進行しており、すぐにでも公的な介護福祉支援を受けることが望ましく、また、自宅を含めた不動産や預貯金といった財産の管理も必要であることされました。Aさんには結婚歴がなく、お子様もおらず、妹さん(以下Bさん)がいらっしゃいますが遠方に住んでおり、Bさん自身も高齢で家族からの介護を受けており、すでにAさんのお世話をすることが困難な状況、Bさんにはお子様がいらっしゃいますが、とてもAさんの介護まで担うことはできないとの回答でした。こうなると、Aさんの身上監護、財産管理をAさんやAさんの家族親族に代わって行う後見人の申立てをすることを検討する必要が出てきます。</div><div><br></div><div>申立てをするのにまず必要になり、かつ大きなポイントになるのが、</div><div>1「医師の診断書」と、2「申立人」です。</div><div><br></div><div>今回は1について。</div><div>後見の申立てに必要になる書類は膨大にあります。申立書の書式は決まっていますが、それに添付する書類も官公署に請求したり、自ら作成したりする必要になります。その添付書類の中で、絶対に外せないのが、「診断書」です。逆にいうと、この診断書がなければ、申立てはできません。(家庭裁判所に受理されません)</div><div>ではこの診断書を書くのは誰か?当然「医師」になるのですが、このAさんの場合、「認知症であることが原因によって意思能力や判断能力を欠いている」という診断がされる必要があります。医師は精神科や神経内科など頭や心を専門にする医師でなくても構いません。最初に相談すべきは、やはりかかりつけ医です。しかし、ここで時々思わぬ壁にぶつかることがあります。あくまでも私の経験ですが、医師に診断書を依頼したが、「(診断書を)書けないと言われてしまった」という相談を受けることが時々あるのです。「うちは内科だから認知症かどうかの診断はできない」「検査ができないから」という実質的な理由なこともあれば、「この人は後見をつけるような重度の認知症ではないから」という判断や診断に基づく理由をあげられることもあります。私も長年医療の現場で働いてきましたが、後見申立てに関する診断書に限らず、医師が診断書を書く、ということは、大きな判断と責任をともなうことになります。私が以前に働いていた医療機関の院長は「診断書は医師の「全て」を込めて書くもの」と仰っていました。専門知識をもって書いた1枚で、その患者さんの権利や義務が確定し、生活や人生を変えることもある、だから真実しか書けない、と。先ほども触れた通り、家庭裁判所は、Aさんに後見が必要かどうかまず医師の診断書を参考にします。申立てを経て後見人がついた場合、後見人には大変大きな権限や裁量が認められ、たとえAさんの家族や親族でも、後見人を無視してAさんの身上監護や財産管理を行うことはできません。そうなると、ケースによっては、最初に診断書を書いた医師が家族や親族から思わぬバッシングを受けることにもなりかねないのです。(そんなことがあってはいけないと個人的には思うのですが)</div><div>医師の診断書を用意することは、申立には絶対条件になりますが、様々な事情、状況から、書いてもらえない、または書いてもらえる医師がいない、という壁にぶつかることもあるのが現状です。</div><div><br></div><div>今回は後見申立て時のポイントとして、「医師の診断書」をあげました。次回は申立て時のポイント、2申立人にフォーカスしたいと思います。</div></div>
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- 「はじめまして、後見人です!」 その②
- <div>前回に続き、後見制度をテーマとしたお話の続きです。</div><div>そもそも「後見」って何でしょうか。「後見」を百科事典で調べてみると、「背後にひかえて世話をすること、うしろだて」とあります。では、民法でいう後見は、どんな方に対して行うものでしょうか。ここからは皆さんにイメージしていただきながらお話をすすめたいと思います。もし認知症が理由で介護が必要な状態になった時、症状や状況にもよりますが、衣食住において、どなたかからの何らかのサポートが必要になります。たとえば家族と一緒に住んでいる場合、家族がその担い手になるケースもありますが、家族だけで介護の全てを負担することは、現実的に困難なことも出てきます。そんな時使える・備える制度として介護保険制度があり、介護度に応じて様々なサービスを受けることができます。では実際に介護サービスを受けるために必要な手続きや費用の支払いは、どなたが行うことになるでしょうか。皆さんの中で、真っ先に思い浮かぶ方はいらっしゃいますか。息子さんや娘さん、お嫁さんやお孫さんなど、家族や近しい親族が動いてくれるという方もいらっしゃると思います。しかし、結婚歴がなく、お子さんもいない、兄弟姉妹がいるが高齢ですでに頼れる状態ではない、中には様々な事情から、近くに家族や親族がいても頼れない、連絡もとれない、という方もいらっしゃるのも現実です。ではそのような状況にある方が、誰からの何の支援も受けず、生活を続けていくとしたらいかがでしょうか。これは実際にあった例なのですが、おひとり暮らしの高齢の方のご近所さんから行政へ、「最近様子がおかしい、話の辻褄が合わない、身なりが乱れている、自宅に不特定多数の人が出入りしている」等の情報提供があり、自宅訪問したところ、認知症がかなり進行した状態で、食事や保清もできておらず、また、不当に高額な代金で不要な自宅内のリフォームといった契約をさせられ預貯金をだまし取られている被害に遭っていた、ということが判明しました。認知症という病気は進行度や症状も様々ですが、ある程度進行すると、意思能力や判断能力が衰え、通常認知症ではない方が普段何気なくやれている、やっている判断や選択が正しくできなくなります。この例の方のように、自分の身の回りのことをすることが困難になったり、お金や貴重品など生きていくために必要な財産の管理も困難になったりします。では、この方が必要な支援を受けるにはどうしたらいいでしょうか。先に書いた通り、介護サービスを受けるためには様々な手続きが必要になり、また費用の支払いも必要です。しかし、この方のようにそれを担う家族や親族がいない場合は、第三者が行うことになりますが、契約や申し込み、お金の管理や支払いといった法律行為を行うことは責任がともないますし、お金が絡めば思わぬトラブルに陥ることもあるかもしれません。そこで、必要になるのが法的な代理人である、「後見人」です。つまり、後見人は、意思能力や判断能力が不十分な方や欠いている方の、身上監護と財産管理を目的として法律行為を行う権限を与えられた代理人ということになります。<br></div><div>よく「後見人って何するの?」とか、「なんで後見人が要るの?」と聞かれることがあります。後見人が必要になるケースは様々ですが、意思能力や判断能力に困難が生じている方に必要な身上監護と財産管理が後見人の業務となります。</div><div><br></div><div>今回は後見人が必要になるケースと後見人の業務についてのお話でした。</div><div>次回は、「はじめまして、後見人です! その③ 後見人が選任されるまで(申立てから審判確定まで)」のお話になります。</div>
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- 「はじめまして、後見人です!」 その①
- 私事ではありますが、今年3月に、行政書士で構成する団体である「コスモス成年後見サポートセンター」に入会いたしました。この団体は、成年後見実務についての研修を通じ会員の資質向上に努め、業務管理等を通じて会員の指導・監督を行う組織で、後見業務を行うのにあたり定期的に業務報告をしたり、コスモスが開催する研修会や相談会に参加したりなど、コスモス会員は団体(以下、「コスモス」と呼びます)のもとで日々後見業務にあたっています。<div>皆さん、「後見制度」や「後見人」という言葉をお聞きになったことはありますか? セミナーや座談会でこの質問をすると、ほとんどの方から「何となく聞いたことはある」というお返事があります。もう少し深く、「では実際に、後見人と呼ばれる人とに会ったことがある、後見人がついているという人が身近にいる、という方はいらっしゃいますか?」と伺うと、今のところそのような方がいらっしゃったことはありません。後見という制度があることは何となく知っている、聞いたことはあるけれど、実際にどんな仕組みなのか、後見人とはどんな人なのかまでは分からない、知らない、という方は少なくないのではないでしょうか。私は前職が医療関係ということもあり、看護・介護・福祉関係の知人・友人も多いのですが、その知人・友人に聞いても、「詳しくは分からない」と言われることが多いです。実際に私も長年現場で働いてきましたが、「今思うと、あの患者さんに時々面会に来ていたのは、ひょっとして後見人…だったのかな」と思い出せる方が一人いる程度です。それくらい、医療や介護福祉の現場で働く人にとっても、なかなか馴染みがないのが現状です。この後見制度に関する法律は、実は今から20年以上も前の2000年に施行されています。この時同時に施行されたのが「介護保険法」であり、この二つの制度は「車の両輪」と呼ばれています。しかし、現在の介護に関する制度とともに発足したのにも関わらず、介護に関する知識や情報の広がりよりも、後見に関する知識や情報の広がりは遅れをとっていることを、個人的ではありますが、実感しています。そして、この知識や情報の少なさが、巡り巡って、後見制度を使った支援を必要とする方、つまり、被後見人の支援の遅れにつながるのではないか、と考えます。では、なぜ後見制度はなかなか周知されないのか? これはあくまでも私の意見なのですが、「知るきっかけ・機会がない」ことが一番大きな原因ではないかと考えます。今後の記事でもう少し掘り下げてお話していきますが、いうまでもなく、超高齢社会にある今の日本で、介護が必要な方の割合も増加しています。 そして、法定後見の申立て件数は年々増加傾向にあります。しかし、そんな状況の中で、介護を担う医療・介護福祉に携わる人手は、圧倒的に不足しています。「常に人手不足」「求人をかけても応募がない」という話も日常的に耳にします。そんな日々の業務をこなす、回すだけで手いっぱいの中で、医療や介護に関する法律や仕組みを学ぼうと思っても、時間がない、余裕がない、というのが、現状なのです。(私も実際に、いくつかの高齢者施設様に、後見についての座談会をやらせてくださいとお願いにあがったのですが、「これからニーズが高まる制度でしょうし、必要なことだとは思うのですが、なにぶん時間的にも人員的にも余裕がなくて…」と丁重にお断りされることがほとんどです。) </div><div>現在コスモス会員として後見業務にあたっていますが、「後見制度を知っていただく」ことも必要な業務の一つだと考えています。制度自体が複雑な部分も多く、とっつきにくいのですが、少しでも分かりやすく、身近な制度の一つとしてとらえていただけるよう、このシリーズで順にお話していきたいと思います。</div><div><br></div><div>次回「はじめまして、後見人です! その②」に続きます。</div>
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- 「終活」って何すること? ~ その④ 実はこんな現実が。介護が必要な状態になった時に備える ~
- ※写真と本文の内容とは、関連ございません。<div><br></div><div>これまで3回にわたり「終活」って何すること?をテーマに書かせていただきました。今回はその④、最終章になります。</div><div>その①でご説明した通り、分かりやすく順に時間と状況を巻き戻してお話してきましたので、今回は、「今この瞬間に最も近い時間帯の終活」ということになります。人生100年時代、医療や福祉の技術が進み、日本人の平均寿命も男女ともに80才を超えています。「人間、死ぬが死ぬまで、自分のことは自分で。誰にも迷惑かけたくない」というのは一番の理想であり、どなたもが望むことです。しかし、実際はそうではないことも多いのが現実です。「誰かの世話にならなければならない」状態になる原因やリスクは、年齢を重ねるほど高くなります。病気やけがによる体の不自由ももちろんですが、皆様にとって一番身近で一番心配なのは、「頭の不自由」、中でも認知症ではないでしょうか。認知症と一口で言っても、実は種類があり症状も色々ですが、認知症が一定の度合いで進行した場合、日常生活の中で様々な問題や課題が出てきます。実例を挙げてみると、「不要な物を不当に高額な値段で売りつけられても、それが良いか悪いか判断できず、言われるがまま契約してしまう」「清潔を保つ行為(入浴や着替えなど)ができない」「近所を徘徊し、交通事故に遭ってしまった」など、大切な財産を失ったり、命や生活が危険にさらされることにつながります。この実例を踏まえるともし万が一皆様の近しいご家族が認知症になった場合、どのような支援や援助が必要になるでしょうか。まずはその方に適切な介護や医療を受けさせるための契約や申請を代わりに行なうことが必要です。そして、介護を受けさせるには現実的にお金もかかるのでお金の工面が必要です。しかし、このお金の工面という点で、実は思わぬ現実が待ち受けています。たとえば、実の息子さんや娘さんが、「認知症の母を施設に入れるのに、母の名義の銀行の預貯金から支出しよう」「父が認知症になり今は施設にいるから、空き家になった実家をこれを機に売却しよう」と銀行や不動産業者に出向いたとしても、「はい、やりますよ」とはなりません。まずは「本人さんでないと手続きできません」と言われますし、「銀行に「本人は認知症だ」と伝えた途端、口座を凍結されてしまった」という話も聞きます。子供さんからすれば、「自分の親のことなのに、どうして実の子の自分ではダメなんだ」と納得できないと感じますし、死活問題になりかねません。銀行や不動産業者は融通がきかない!と言いたくもなりますが、実は銀行や不動産業者も決して嫌がらせをしているわけではなく、必要な措置をとっているのです。いくら実の子供だからといっても、それだけで口座の解約や払い出し、不動産の売却(いわゆる財産の処分)を無限に認めてしまうと、他の親族や推定相続人(その本人が亡くなった場合に相続人になりうる人)とトラブルになることも考えられます。他にも、その処分によって得られた財産の使い込みや横領といった犯罪も起こりえますし、不動産の売却により本人の居住する場所や権利を奪うことになっては、取り返しがつきません。認知症だからこそ、むしろその本人の財産がしっかりと保全するされる必要があるのです。</div><div>ではそうなってしまった時の方法は?そうならないために事前に備える終活は?というと、使える制度の一つとして、後見制度があります。後見についてはこれまでのコラムでもご説明していますので、そちらを参考にしていただければと思います</div><div>「実の親子関係であるというだけでは、認知症の親の財産を処分できないという現実がある」 今回の「終活って何すること? その④」の中で一番お伝えしたいのは、 ここです。「子供と同居しているから、何とかしてくれるだろう」「親の介護?何とかなるだろう」というお話を聞くことがあります。何とかなる、何とかするのが一番ですが、将来のことは誰にも分かりません。歳を重ねれば重ねるほど、「いつかの将来」は確実に「今現在」に近づいていきます。</div><div>この現実をあらかじめ知っておいていただくことで、「では今のうちにやっておくべきことは何か?」につながるのではないか、と考えます。</div><div><br></div><div>4回にわたり、「終活って何すること?」をテーマにお話をさせていただきました。</div><div>まずは正しい知識をもつこと、それが終活を考えるきっかけになり、さらに形にすることで、結果的にご自分の意思とご家族を守ることにつながります。</div><div>正しい情報を正しく知るためにも、ぜひ私達専門家をご活用ください。</div>
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- 「終活」って何すること? ~その③ ご自分の命の瀬戸際に、どこまでの治療を望まれますか?~
- ※写真と本文の内容は関連ございません。<div><br></div><div>今回は、「終活」って何すること? その③、「命の瀬戸際に受ける医療について」のお話です。</div><div>このテーマは、私が看護職として長年医療機関や高齢者施設で従事してきた中で、「終活の中で最も大切なものではないか」と考えるものです。当HPのコラム「リビングウィル、尊厳死」の中でも、何度か取り上げてまいりましたので、ここでは、「尊厳死」や「延命措置」についての詳細な説明は割愛させていただき、私が実際に経験した出来事をお話したいと思います。</div><div>看護職に就いて間もない頃、当時勤めていた医療機関に当時40代だった方が入院されていました。</div><div>この入院患者様は突然の脳の病に倒れ、一時危険な状態に陥られましたが、懸命な治療を受けられ、一命を取り留められました。しかし、重い後遺症が残り、ご自分で口から食事をとることができず、胃に直接栄養を送る「胃ろう」を造設し、一日に3回の必要な栄養をとられている状態でした。目は開けていて今にもお喋りできそうな表情はされているものの、声を発することはできず、ご自分で寝返りをうつこともできない、寝たきりの全介助のご状態でした。</div><div>この患者様には、70代の親御様がおられ、毎日のようにご夫婦そろってお見舞いに来られていました。「今日もいい顔してるね」「今日は○○(患者様のお名前)の好きな歌手の歌のCD持ってきたよ」「髪を整えようね」と、返事はなくともごく自然に話しかけられる姿に、私自身の両親の姿が重なり、現場で働くプロとして失格かもしれませんが、幾度となく涙がこぼれそうになりました。そんな様子が続いたある日のこと、ちょうどこの日担当だった私がケアに入った際に親御様からこんなことを言われました。「こうやって毎日この子の顔見られるのはうれしいけれど、自分たちも歳をとり、いつまで面倒を見てやれるか分かりません。この状態がいつまで続くのか、不安です。生きててくれるだけでいい、だけど、この子は今苦しんでいるかもしれないですね、そうではないですか?」私は返す言葉がなく、ただ曖昧な笑顔で聞くことしかできませんでした。親御様は私たちがケアに入る度に、「すみません」「ありがとう」と毎回仰ってくださいました。しかし、一般的・世間的に「大人」と言われる年齢にある自分たちの子供が、自ら動くことも話すこともできず、食事や排せつのケアを他の誰かから受けている、その姿を見ることは、辛く悲しいことだったかもしれないと、今更ながら思うのです。そして、「本人もそれを望んでいるのか、本当は苦しく辛いのではないか」と思い悩む気持ちになることもごく自然な感情だと思うのです。</div><div>今、医療を受ける患者の権利を守るべく、様々な提言がされています。自らの権利を知り、選択、判断ができるのであれば、ご自身にとって納得のいく医療を受けることにつながるのではないかと考えます。</div><div>しかし、この患者様のケースのように、ある日突然に命の瀬戸際に立たされ、自身の受ける医療に選択や判断をする余地のない状況に陥る現実があることも確かです。その選択や判断を、本人に代わってご家族が迫られた時、ご家族の心理的・精神的負担はどうしても大きくなります。</div><div><br></div><div>「もしもご自身やご家族が命の瀬戸際に立たされた時、どこまでの、どんな治療を望まれますか?」<br></div><div>リビングウィルや尊厳死をテーマとしたお話をさせていただくとき、私はまずこの質問をさせていただきます。「返事に困る」「すぐ答えられない」「考えたくない」などのお答えがほとんどですが、お話の終了後には、「考えなきゃいかんね」「ちょっと家族とも話してみるわ」と仰ってくださる方も多くいます。</div><div>命の重さ、尊さが分かるからこそ、 すぐに答えが出せるものではない質問です。(質問をさせていただく側としても、とても緊張します) しかし、万が一の備え、「終活」の一つとして、ぜひ思いを馳せていただきたいと思います。</div><div><br></div><div>次回は「終活」って何すること? の最終話、~その④ 実はこんな現実が。介護が必要な状態になった時に備える~がテーマです。 </div>
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- 「終活」って何すること? ~その② ご自分の葬儀に希望はありますか?~
- ※写真は、本文の内容とは関連ございません。<div><br></div><div>今回は、私がご紹介したい「4つの終活」のうちの2つ目のお話です。</div><div><br></div><div>前回は、ご自分の亡き後の相続手続きのお話でしたが、私の経験上、故人様亡き直後に相続人の間ですぐに「相続の具体的な話」が出ることはあまりないように感じます。というのも、人が亡くなると、まずは「葬儀はどうするのか」という話になり、葬儀が終わってからは、関係機関に故人様死亡の事実を伝え、各種手続きをする必要があるからです。</div><div>病院や施設で亡くなった場合、ご家族の心情に配慮しながらもできるだけ早いご遺体の引き受けをお願いされますし、ご家族のもとに戻られたご遺体を次に安置する場所の手配が必要です。その後は一般的に通夜、葬儀、火葬と続き、初七日や49日法要など、それと並行して、関係機関の手続きと、ご家族にとっては体力も気力も必要な出来事が一気に押し寄せます。ですので、相続手続きの前に、こういった「亡き後の手続きに関する事務」を先に行う必要が出てきます。(以下、ここでは死後事務手続きといいます)</div><div>死後事務手続きは大きく3つに分けられます。</div><div>1つ目は、「葬儀に関すること」具体的には、ご遺体の引き受け、搬送、安置(仮安置も含む)、亡くなったことを親族や関係者に連絡する。葬儀や火葬の手配、費用のお支払い。</div><div>2つ目は、「お墓に関すること」具体的には、遺骨の引き受け、搬送、安置(仮安置も含む)、納骨や法要の手配、費用のお支払い。</div><div>3つ目は、「行政手続き、その他」具体的には、市区町村での手続き、年金手続き、ライフラインの停止や支払いの変更、病院や施設の諸費用のお支払い、家具や遺品の処分等。</div><div>当然ですが、故人様はすでに亡くなられているので、ご自身の死後事務を自分で行うことはできません。親族や家族が担うことになりますが、故人様が生前に「自身の死後事務に対しての備え」をしておくと、担う側にとって大変スムーズなことが出てきます。</div><div>たとえば、葬儀について。冠婚葬祭会社さんの互助会に入会し、葬儀や法要のプランについて希望を伝えておく、積み立てをして葬儀代を確保しておく、遺影となる写真を撮影しておく、自分が亡くなった時に連絡してほしい、伝えてほしい人をリスト化しておく、菩提寺があれば亡き後の連絡方法や葬儀や法要について確認しておく、など。</div><div>次に、お墓(納骨)について。遺骨ついての希望、納骨方法やお墓の継承(状況によって墓じまいの検討)、菩提寺との関係についての希望、など。</div><div>最後に、行政手続き、その他について。返却の必要な書類(健康保険証、介護保険証、障害福祉に関する手帳、各種助成関係など)の保管場所を分かるようにしておく、亡き後に相続人が支給が受けられるものについて調べておく(生命保険や年金など)、ライフラインの会社や引き落としの口座がどれかを分かるようにしておく、など。</div><div>実際に死後事務を担った方のお話を伺うと、「葬儀の際にどのような葬儀の形態にするか値段の相場も分からないし、予算も含めて、選択が難しかった」「亡くなったことをどこまでの関係性があった方に連絡したらいいのか迷った」「手続きをしようにも必要な書類などが見つからなくて困った」など大小様々な葛藤や問題を経験されたという方も多くいらっしゃいます。大切なご家族が亡くなる、という出来事は非日常であり、精神的・心理的な負担がある上に、次々とやらなければならないこと、選択しなければならないことが押し寄せ、「悲しんでいる時間もないほどだった」というお言葉も聞かれます。そんな中で、故人様が生前に自分の死後事務について、ご家族に希望をお伝えしたり、具体的な選択や手続きを済ませていただくことによって、残されたご家族の負担は少なからず軽減されると考えます。</div><div>ご自身の「死後事務」について、担ってくれるご家族やご親族がいないケースの場合、専門家などと「死後事務委任契約」を結ぶことによって必要な事務をお願いすることも可能です。担ってくださるご家族やご親族がいる方の場合、「エンディングノート」を使って、希望を伝えたり、必要なものの在処や連絡先等を記しておくことができます。</div><div><br></div><div>「終活」というと「遺言」が代表格と言われますが、人が亡くなると葬儀や火葬、納骨など、ご家族やご親族にとってはすぐにやるべきこと、やらなければならないことがあります。葬儀をはじめ死後事務は、故人様とのお別れに対するお気持ちの部分でも大切な役割があります。ご自身の人生の幕をどのように閉じたいか、まずはイメージしてみるところからはじめてみませんか。</div><div><br></div><div>次回は3つ目、「命の最期に受ける医療について」のお話になります。</div>
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- 「終活」って何をすること? ~その① ご自分の相続手続きに備える~
- <div>※写真の内容は本文とは関連ございません。</div><div><br></div>突然ですが、「終活」というと、何をどうする、というイメージがありますか?<div>最近では「終活」という言葉も聞き慣れた言葉になってきました。私は終活に関する座談会や講座をやらせていただく際に実際に「あなたにとって「終活」というと何をするイメージですか」と何人かの方にお聞きします。</div><div>「生きているうちに断捨離(身の回りの整頓など)をすること!」「自分のお葬式の予約をしておくこと!」などなど、それぞれの「終活」を教えてくださいます。</div><div>私見ですが、終活というと、「自分が死んだあとに家族が困らないように何かしらをしておくこと」というイメージをお持ちの方が多いように感じます。もちろん、これも必要な「終活」に当たると思います。しかし、終活というのは段階を踏んだ様々な「備え」を指します。特に私がご紹介したい「終活」には4段階あります。</div><div><br></div><div>分かりやすく説明するために、時間を逆にしてご説明していきます。今回は1つ目のご紹介です。</div><div><br></div><div>1つ目は、「ご自分の亡き後の相続手続き」に対する備えです。</div><div><br></div><div>人が亡くなると、その瞬間に「相続」が発生します。相続というのは、故人様の残された財産(プラス、マイナス、全ての財産を指します(遺産))のうち、相続人間の話し合いにより、誰が、何を、引き継ぐのか、次の持ち主を決めることです。これは「遺産分割協議」と呼ばれるものですが、この遺産分割協議には実は隠れた高いハードルもあります。まずは、「相続人全員での協議」が必要になること。相続人が欠け状態で行われた遺産分割協議は無効になるため、まずは相続人が誰にあたるのか調べる必要があります。普段から家族・親族間で連絡を取り合うような関係であればさほど難しいことではありませんが、連絡のとれない相続人がいたり、家族・親族間が不仲である、故人様に前婚歴がありお子様がいらっしゃる、となると、この相続人を特定する調査、作業は困難なものになります。「そもそも相続人ってどうやって調べるの?」と疑問に思われる方もいらっしゃると思いますが、故人様の出生から死亡時までの連続した戸籍謄本で婚姻歴や縁組歴等を調べ、法定相続人にあたる方の有無、居所などを調べていきます。その方に婚姻歴がなく、お子様もいないとなると相続順位、相続関係が複雑になり、相続人の特定作業はとても時間も手間もかかってきます。そしてもう一つ、この相続人の中に、「意思能力・判断能力がない方、ないとされる方」がいる場合も、遺産分割協議は無効になります。そもそも遺産分割協議は「自分の意思や希望を他の相続人に伝えたり、他の相続人の意思や希望を聞いたりして、遺産について話し合うこと」ですので、そこには自分が相続人であり協議をするという自覚であったり、最終的に協議がまとまった場合は、協議書に署名・捺印も必要になります。</div><div>ですので、たとえば頭の不自由(主に認知症)があり意思能力・判断能力ない状態の方や、法律上そのように定義されている未成年者等は、遺産分割協議には参加できず、法的な代理人を立てる必要が出てきます。</div><div>高いハードルの2つ目は、財産の内容が明らかでない場合です。先ほども述べましたが、故人様の遺産は、プラスの財産だけではなく、マイナスの財産も含まれます。マイナス、つまり事情があって生前にどなたかからお金を借りていて返済が終わっていないケースや、車や家をローンで購入し、月々返済しているケース、などですが、一番心配されるのが、ご家族が知らないところで故人様がマイナスの財産を持っていた、作っていた、というケースです。家族がそれを把握できないまま遺産分割協議・相続手続きを済ませたはいいが、すでに相続放棄ができなくなってから故人様に多額の負債があったことが発覚した、となると、相続人が不測の負債を抱えてしまうことになってしまうこともあります。</div><div>以上の高いハードルのために、相続手続きが進まず、故人様の残された財産の次の持ち主が決まらない、となると、様々な都合の悪いことが出てきますし、時間の経過は、財産の価値の変化、相続関係の新たな変化までもたらす可能性もあります。また、遺産を巡って、家族・親族関係がこじれ泥沼化することで「相続」は「争族・争続」とも呼ばれます。</div><div><br></div><div>さて、話の冒頭に戻りますが、ではご自分の亡き後の相続手続で、家族・親族間の無用な争いごとを防ぎ、また何よりも、ご自分の残した財産をご自分の託したい方に託すことができる備え、「終活」の一つが、「遺言を残す」ことです。</div><div>遺言の種類や作成時の注意点など詳細はここでは触れませんが(コラム「遺言作成」を併せて参考にしていただければ幸いです)、法的に有効な遺言があれば、原則として遺産分割協議を経ることなく、遺言通りに財産の分配がされます。</div><div>相続人全員による話し合いが必要なければ(遺産分割協議が必要なければ)、相続手続きに関して時間や手間は随分省くことができると考えます。</div><div>「遺言」のお話をさせていただくと、「自分には遺言を書くような財産なんてないから」とか、「なんだか堅苦しい」「大変そう」といった感想が聞かれます。しかし、これは終活全般に言えることですが、遺言作成は、ご自分の築いてきた人生や財産と向き合い、次の担い手に託すという大変重要な役割を持っています。ご自分の大切な思い入れのある財産を確実に次世代に繋ぎ、また、残されたご家族の無用な争いごとを避けるためにも、終活の代表格である「遺言作成」をおすすめしたいと思います。</div><div><br></div><div>次回は2つ目、「死後事務委任」についてのお話になります。</div>
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- 家族を守るためにも
- ※写真と本文の内容とは関係ございません。<div><br></div><div>私はこれまで看護職として働いてきましたが、その中で高齢者施設で働くことが期間としては一番長いものでした。</div><div>さて、これはあくまでも私の経験上のお話で大変恐縮なのですが、それまでの生活スタイル・生活の場から離れ、新しく施設に入所される入所者様のほとんどは、環境の変化やご自分を取り巻く人間関係の変化(同じ入所者様やスタッフなど)にすぐに馴染むことが難しく、何らかの変化や不調を訴えられたり、言動になって表れる方が多くいらっしゃるように感じます。たとえば、毎日あった排便が止まってしまい便秘がちになった、夜眠れない、食欲がわかない、などなど、いわゆる急激な環境の変化が精神的・心理的ストレスになり、身体の不調となって表れる方がとても多いです。また、身体だけではなく、物忘れや時間の感覚のズレ、ご自分のいる場所、入所するまでの経過が分からなくなり、徘徊や昼夜逆転、抑うつや怒りっぽくなる、など、一時的なものもありますが、頭の不自由、いわゆる認知症様の症状が見られるようになる方もいらっしゃいます。</div><div>施設によるとは思いますが、私が今までにスタッフとしてお世話になったところでは、新規の入所者様のご家族やご関係者に、「入所して1~2か月は急激な体調の変化も十分に起こりえます」とご説明していました。実際に入所してから数日や数週間で脳血管疾患、心血管疾患を起こし、救急搬送や緊急入院に至る方も珍しくありません。とくにこれらの疾患の場合、急激に命の危機に瀕した状態に陥ることが多く、医師から、「どこまでの治療を求めますか」とご家族に説明がされるケースにも何度か立ち会いました。</div><div>ご家族としては、施設が決まり手続きなどを経て荷物の搬入なども終わり、これでご本人の身の安全や生活の場は確保できた、そして自分たちも少し落ち着けるだろう、と思っていた矢先に、そのご本人の容態が急変し、命の瀬戸際に立たされている…この厳しい現実をすぐに受け入れることは到底難しいのではないでしょうか。さらにその上に、どこまでの治療をするか、いわゆる、延命措置と呼ばれる措置を行うかどうか、これを決めてくださいと言われたとすると、かなりの心理的ご負担が生じることになります。ご家族がその時に延命措置をすると決めたとして、しないと決めたとしても、その後にご本人にとってこれで良かったのかと長く思い悩まれる姿もまた多く見てきました。「(入所の時に)こういうこともあり得ると聞いていたのに…その時は深く考えていなかったんですよね、まさか現実になるなんて…」と苦しい胸の内を打ち明けてくださるご家族もいらっしゃいました。</div><div>想像してみていただきたいと思います。</div><div>もしこんな「まさか」の事態に備えて、ご本人自身が、「自分の命の瀬戸際にどこまでのどんな治療を望むのか」をきちんと意思表示し、ご家族にあらかじめ伝えられていたとしたらどうでしょうか。延命措置を受けるか受けないかというような場合、ほとんどのケースで、すでにご本人が自身ではどうしたいと意思表示ができないような状況・状態におかれていることがほとんどだと思います。そんなご本人からすでに先に、「自分が万が一そんな状態になったら)ああしたい」「こうしたい」「ああしてほしい」「こうしてほしい」と聞けていたのであれば、ご家族は「本人の望んでいた通りにしてあげよう」と思えるのではないでしょうか。またそう思えることで、ご家族自身も究極の選択や判断を自ら迫れることなく行うことができ、心理的ご負担が少しでも軽くなるのではないでしょうか。</div><div>「延命措置」と言われても、どことなく自分事としてはイメージできない、したくない、という方も多いのではないでしょうか。 しかし、人がいつ命の終わりを迎えるか、誰にも分からないことです。年齢に関係なく、不慮の事故などで本当にある日突然に命の瀬戸際に立たされることも考えられます。そういった中で私たちは生活しています。<br></div><div>「自分らしく最期を迎える」ためにも、命の瀬戸際に立たされた場合に、どこまでのどんな治療を望むのか、ぜひイメージしてみる機会、きっかけを作ってみてください。</div><div>子供が結婚した、孫が生まれた、大切な方が亡くなった、などなどの人生における折に触れて「自分事」として考えてみてください。</div><div>イメージは、意思や望みを生み出します。意思や望みがあるとしたならば、声に出して大切な方に伝えてみてください、そしてできる限り形にしてください。これは今回のような命の瀬戸際における医療のみならず、全ての「終活」のスタートになると私は考えています。</div><div><br></div><div>皆様の「イメージ」と「意思表示」は、いつか来るかもしれない万が一の時の備えとなり、大切なご家族を守る道しるべとなります。</div><div>どうか皆様の想いが長く確実に大切な人に伝わりますように。</div><div><br></div><div><br></div><div><br></div><div><br></div><div><br></div>